Zenmuse L3 実運用レポート|塩原ダムで検証した“高精細点群”の実力と L2 との比較
こんにちは、産業機ドローン担当の鈴木です。
今回は、2025年11月4日にリリースされたドローン用LiDARシステム DJI Zenmuse L3 について、最速レビューの続報となる活用現場でのデータ紹介になります。
現場となった塩原ダム周辺を対象に、Zenmuse L3 を使ってデータを取得し、点群構築した成果物をご紹介するほか、Zenmuse L2 でも同様に計測しましたので、気になる性能を比較できる資料としてもまとめております。これまた盛沢山な内容になっておりますので、ご参考になれば幸いです。

前回の Zenmuse L3 最速レビューと徹底検証については、こちらをご覧ください。
現場概要
Zenmuse L3 の性能を最大限に検証するため、ダムおよび橋梁といった複雑構造物を対象に、Zenmuse L2 との再現性・効率性の比較を目的とした現場選定を行いました。
検証フィールドとして選定したのは、栃木県に位置する塩原ダムです。高さ約60mの重力式コンクリートダムで、総貯水量は約8,760千立方メートルを誇る大規模構造物です。高低差が大きく、形状変化の多いダム構造は、LiDARの精度検証や再現性評価に最適であり、Zenmuse L3 の立体的な描写能力を確認する上で非常に有効な環境と考えました。
さらに、ダム湖上には全長約320mの歩行者専用吊り橋「もみじ谷大吊橋」が架かっており、無補剛桁歩道吊橋としては本州最大級の規模を誇ります。支柱やワイヤーといった細部構造の再現度を評価するうえでも理想的な対象であり、Zenmuse L3 のビーム径縮小・FOV拡大による高精細な点群再現性能を検証するには、まさに最適な現場です。
今後は、Zenmuse L2 との比較を通じて取得効率や再現精度の違いを分析し、構造物計測分野での実運用に向けた有効性を検証してまいります。
計測の詳細
計測環境
計測地:塩原ダム周辺
天候 :晴天
風速 :1~3m/s
計測エリア
計測はそれぞれのエリアに分けて行いました。
1.ダム周辺
2.橋梁周辺
3.起伏のある森林
4.計測エリア全体
計測時設定
高度:100
速度:約6 m/s
リターン: オクタ
スキャンレート:350kHz
スキャンパターン:非反復
SL(サイドラップ):40%
高度モード:ALT
構築時設定
構築ソフト:DJI TERRA
点群密度:高(100%)
精度の最適化:ON
点群の平滑化:OFF
グラウンド分類:ON
成果物
取得した成果物については、すべて非常に整った形でデータ化されており、精度・密度ともに高い品質が確認できました。
特筆すべきは、飛行経路を細かく設定していないにもかかわらず、これほどまでに正確で滑らかな再現が実現できた点です。
これはまさに、Zenmuse L3が持つ高精度LiDAR性能と可視光カメラのRGB色付け性能の組み合わせによる再現力の高さを証明する結果といえます。
複雑な構造物であっても、シンプルな自動飛行のみでここまでの品質を得られるという点は、現場の省力化や効率化の観点からも大きな価値を感じられる結果となりました。
1.塩原ダム


2.橋梁


・詳細モデリング〈手動操作〉


3.起伏のある森林(リアルタイム地形フォロー:ON)


・木々によって視認できない林道もグラウンドポイント分類することで確認可能


・斜めに植生している木々や林道の視認可能

4.計測エリア全体
約2kmの広範囲エリアを計測したのですが、約35分で計測を終え、点群構築は5時間で半日かからずデータ構築が完了いたしました。計測効率に関して、DJI Matrice 400+Zenmuse L3 はとてつもない効果を発揮するのではないかと感じております。


Zenmuse L3 と L2 の比較
塩原ダムの比較
Zenmuse L3/L2 ともに概ねきれいに再現されておりますが、細かく比較するとスペックによる差が大きく出た結果になりました。


断面比較
Zenmuse L3 はビーム径が小さくなっていることにより、細かく法面にレーザーが照射され厚みが少ない結果となりました。Zenmuse L2 はビーム径が比較的大きくなってしまう部分や楕円上の形状のため、ところどころに計算ズレが見受けられます。


リターン記録でも Zenmuse L3 は1リターンで記録されていたものが、Zenmuse L2 は2リターンになっている部分がございました。


橋梁比較
Zenmuse L3 と Zenmuse L2 では、橋梁のワイヤーの再現が大きく差があり、詳細はこちらの通りです。


特に縦ラインのワイヤーに関しては顕著に差が出て、Zenmuse L3 ではデータ化されているのに対し、Zenmuse L2 は記録すらされておりませんでした。




まとめ
Zenmuse L3 は L2 と比較してLiDARの照射範囲と可視光カメラの広角FOVがさらに拡大し、ビーム径の縮小によって、これまで以上に高高度からでも高精細なデータ取得が可能となりました。
その結果、構造物の維持管理や点検、進捗確認といった分野においても、これまでにない精度と効率を発揮できると期待されます。
撮影データは手動操作を除き、すべてカメラを真下方向に固定した状態で取得しています。つまり、特別なアングル調整や細かな操作を行わずとも、エリアを指定して自動飛行させるだけで、ここまで緻密な再現が可能になったという点が Zenmuse L3 の大きな進化です。
また、DJI Matrice 400 と組み合わせた場合、2kmの範囲の計測をわずか約35分で完了できるため、現場の生産性向上にも大きく貢献します。従来の測量・点群取得の常識を覆すスピードと精度を、ぜひ現場でご体感ください。
運用方法や具体的な活用事例については、セキドが責任をもってサポートいたします。導入検討やデモのご相談など、どうぞお気軽にお問い合わせください。
DJI Zenmuse L3 + DJI Care Enterprise Plus
協力会社様
・株式会社NSI真岡 様
・株式会社 安田測量 様

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